2020年2月15日更新
「インド占星術」という言葉を冠する占星術は、構造的にも歴史的にも、非常に複雑です。ここでは「インドと呼ばれる地域で、現在使われている占星術」として紹介します。インド占星術は、高度な天文学、数学、哲学が一体となった究極の学問で、今もなお多くの人々の暮らしに影響を与えています。
占いの分類では
命術に入ります。
インドでは、お見合いによる結婚が大半です。新聞に「花嫁・花婿募集」という広告を出し、写真や職業の他、占星術用のデータも掲載します。結婚後、赤ちゃんが生まれれば、まずは占星術でその子の一生を占うのが、必須。そのため、人生におけるどんなことでもオールマイティに占えます。ただし、本場インドの解釈は、インドの文化と風土で役立つように最適化されているので、日本で使うときには、占い師による「翻案」が必要でもあります。
◎どんな人と結婚するか
◎どんな職業に就くか
◎生涯にどの程度の財産をなすか
◎今この時期に起きる出来事は?
◎注意すべきアクシデントは?
◎なぜこの世に生まれて来たのか
◎どんな形で社会に貢献するか
……などなど
データは精密であるほど精度が上がります。出生時間は、できれば秒単位まで。出生地も、緯度・経度が正確にわかるのが望ましいです。どうしてもわからない場合は、占い師がこれまでの人生について質問し、出生データの調整を行うこともあります。相性を知りたいときは、相手のデータも調べておきましょう。
・生年月日、出生時間(西暦xxxx年xx月xx日 24時間制でxx:xx)
・出生地(ベストは産声を上げた場所の住所。県名でもOK。海外は都市名も)
・現在地(住所。県名でもOK。海外は都市名も)
※本名や血液型は必要ありません。
インド占星術には、大きく分けて3つの概念があります。
【1:クンダリー】
西洋占星術の
ホロスコープ・チャートにあたるもの。太陽の通り道・黄道を12に分割したエリアのどこを
惑星たちが運行しているかをもとに占う。右図はその一例で、北インド式の作図法。
【2:
ナクシャトラ】
月の通り道・白道を27に分割したエリアのどこを惑星たちが運行しているかをもとに占う。
【3:ダシャ】
フラクタル構造を持つ時間分割システム。人生のある時期をどの惑星が支配しているかを算出して占う。(フラクタル構造:雪の結晶のように、同じ形の小さなパーツが集まって、相似形の大きな全体を作る構造)
このうち、クンダリーはインドより西側の地域が起源、ナクシャトラとダシャはインドの土着の天文学と数学から生じた……と言われますが、断言するのは難しいところです。
いずれにせよ、複数のシステムを駆使して、微に入り細にわたり、人生の全てを見渡すことができます。インド占星術の熟練者の鑑定を受けると、あまりにも細かいことを言い当てられて、仰天することがしばしばです。たとえば、「〇年〇月〇日〇時に、駅の階段で転んだでしょう?」など。
その一方で、「なぜこの世界に生まれて来たのか」など、壮大な魂の物語についても、言及されます。オンリーワンの生き方を望むなら、一度は、インド占星術による徹底的な鑑定を受けることをお勧めします。
※インド占星術を「ジョーティシュ」と呼ぶことがありますが、正確に定義するのはとても難しいので、本項ではわかりやすさを重視し、「インド占星術」という言葉でまとめました。